防犯カメラの勘定科目|工事費込み10万・20万・40万円で判定

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防犯カメラの勘定科目は、本体と設置工事費を合わせた取得価額で決まります。取得価額が10万円未満なら消耗品費などで取得した年度に一括で経費、10万円以上なら「工具器具備品」として資産に計上し、20万円未満は3年で均等に、青色申告の中小企業者等は40万円未満まで取得した年度に全額を経費にできます(令和8年4月1日以後に取得したもの)。
「設置工事費は本体と合算するのか」「何台かまとめて買ったときは1台ずつ判定するのか」「耐用年数は何年か」——防犯カメラを導入した総務・経理担当者が迷う点を、法令と国税庁の資料の原文に沿って、仕訳例つきで整理します。税額に関わる最終判断は顧問税理士に確認してください。
導入前の総額は設置費用の相場や維持費・ランニングコストもあわせて確認すると把握しやすくなります。
防犯カメラの勘定科目は「工事費込みの取得価額」で決まる
処理の区分は、取得価額(本体+設置工事費の合計)で決まります。10万円未満の扱いは法人税法施行令第133条、20万円未満の一括償却資産は同第133条の2、中小企業者等の40万円未満の特例は租税特別措置法第67条の5(個人事業主は第28条の2)が根拠です。
| 取得価額 | 使える処理 | 対象 |
| 10万円未満 | 取得した年度に全額を経費(消耗品費など) | すべての事業者 |
| 20万円未満 | 一括償却資産として3年で均等に経費 | すべての事業者(青色申告の要件なし) |
| 10万円以上40万円未満 | 少額減価償却資産の特例で取得年度に全額を経費(1年の合計300万円まで) | 青色申告の中小企業者等・個人事業主(令和8年3月31日以前の取得分は30万円未満) |
| 上記を使わない場合・40万円以上 | 工具器具備品として耐用年数で減価償却 | すべての事業者 |
10万円未満は取得した年度に一括で経費
取得価額(設置工事費を含む合計額)が10万円未満なら、事業に使い始めた年度に全額を経費にできます。法人はその年度に損金経理(決算で費用として処理)をすることが条件で、いったん資産に計上したものを後の年度にまとめて費用にすることはできません(国税庁タックスアンサー No.5403)。個人事業主も同じ扱いです(所得税法施行令第138条)。
10万円未満かどうかは、会社が採用している消費税の経理方式で判定します。税抜経理方式なら税抜金額、税込経理方式なら税込金額です。たとえば税込107,800円の機器は、税抜経理なら98,000円で10万円未満、税込経理なら10万円以上になります(国税庁 No.5403 質疑応答)。
10万円以上は「工具器具備品」として資産に計上
取得価額が10万円以上で、特例を使わない場合は「工具器具備品」として固定資産に計上し、耐用年数にわたって減価償却します。
注意したいのは、本体価格だけで判定しないことです。取得価額には「その資産を事業の用に供するために直接要した費用」が含まれます(法人税法施行令第54条)。カメラ本体が8万円でも設置工事費が3万円かかれば合計11万円となり、10万円未満の一括経費にはできません。
建物の工事と一体で設置した場合
新築・改修工事の中で建物の配線と一体に設置した場合に、器具備品とするか建物附属設備とするかは、工事の内容と契約の切り分けで判断が変わります。防犯カメラについてこの区分を示した国税庁の資料は見当たらないため、工事一式で発注したときは見積書の内訳を残し、顧問税理士に確認してください。
法定耐用年数は細目の判断で変わる(5年・6年など)
法定耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(e-Gov法令検索)の別表第一で決まります。別表第一に「防犯カメラ」という品目はなく、「器具及び備品」のどの細目に当たるかで年数が変わります。
当てはまりうる細目と年数
| 別表第一の細目 | 耐用年数 | 根拠・例 |
| 器具及び備品「2 事務機器及び通信機器」のインターホーン及び放送用設備 | 6年 | 国税庁の質疑応答事例で、監視用カメラ・モニター・インターホン等が一体となって機能し一式で販売される装置に適用 |
| 器具及び備品「4 光学機器及び写真製作機器」のカメラ、映画撮影機、映写機及び望遠鏡 | 5年 | 省令上の「カメラ」の細目(防犯カメラがここに当たるかは省令に明記なし) |
国税庁の質疑応答事例「ドア自動管理装置の耐用年数」は、入室の遠隔監視や施解錠を行う装置(監視用カメラ、モニターTV、インターホーン、制御器などが一体となって機能し、一式で販売されるもの)について「インターホーン及び放送用設備」の6年を適用すると回答しています。カメラ単体で購入した場合や、録画機・モニターと別々に購入した場合も同じ年数になるとは限りません。構成と購入の単位を示して顧問税理士に確認してください。
実際の寿命は設置環境により5〜10年が目安で、法定耐用年数とは別のものです。耐用年数を過ぎても使い続けられますが、帳簿上は1円(備忘価額)が残るまで償却が進みます。交換の目安は防犯カメラの寿命と交換サインを参照してください。
具体的な仕訳・減価償却の計算方法
仕訳の具体例を3パターン示します。数字は説明用の例で、実際の処理は顧問税理士に確認してください。
仕訳例1:資産に計上して減価償却する場合
前提:税込経理方式、防犯カメラ一式180,000円+設置工事費42,000円=取得価額222,000円。少額減価償却資産の特例(40万円未満)は使わない(使えない会社も含む)。耐用年数6年・定額法を選んでいる場合。
| 仕訳のタイミング | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
| 購入時 | 工具器具備品 | 222,000円 | 現金(または普通預金) | 222,000円 |
| 決算時(12か月使った年度) | 減価償却費 | 37,074円 | 工具器具備品 | 37,074円 |
年間の減価償却費は 222,000円 × 定額法の償却率0.167(耐用年数6年)= 37,074円です(償却率は耐用年数省令の別表第八)。事業年度の途中から使い始めた年度は、使った月数で按分します(法人税法施行令第59条)。耐用年数が5年なら償却率は0.200で、年44,400円になります。
なお、法人が償却方法を税務署に届け出ていない場合、工具器具備品の法定の償却方法は定率法です(法人税法施行令第53条)。個人事業主は届け出ていなければ定額法です(所得税法施行令第125条)。
この例の222,000円は40万円未満なので、青色申告の中小企業者等であれば、少額減価償却資産の特例を使って取得した年度に全額を経費にすることもできます(30万円未満なので、令和8年3月31日以前の取得分も対象です)。
仕訳例2:設置工事費(配線工事)の処理方法
防犯カメラを使えるようにするための配線・取付工事費は、カメラ本体と合算して取得価額を判定します。
- 合算の根拠:取得価額には「その資産を事業の用に供するために直接要した費用」を含める(法人税法施行令第54条)
- 判断のポイント:その工事が「カメラを使える状態にするため」のものかどうか
カメラ本体が7万円でも設置工事費が5万円なら、合計12万円として判定します。10万円未満の一括経費にはなりません。
仕訳例3:クラウド型(月額制)防犯カメラの処理
Safie(セーフィー)などのクラウド録画型防犯カメラは、月額のサービス料が発生します。この利用料は資産ではないため、毎月の費用として処理します。
| 費用の種類 | 勘定科目の例 | 処理方法 |
| 月額サービス料(録画・閲覧) | 通信費・支払手数料など | 毎月費用として処理 |
| カメラ機器の初期費用(購入の場合) | 消耗品費または工具器具備品 | 工事費込みの取得価額で10万円・20万円・40万円の区分を判定 |
| カメラ機器のレンタル料(中途解約できる契約) | 賃借料 | 毎月費用として処理 |
勘定科目の名前は法令で決まっていないため、社内で継続して同じ科目を使います。中途解約ができない「リース契約」は扱いが異なります(次の章の方法②)。クラウド録画の仕組みはクラウド録画の仕組みと選び方を参照してください。
中小企業が使える3つの処理
取得価額40万円未満の防犯カメラなら、次の3つの処理のうちどれを使えるかを確認します。
処理①:少額減価償却資産の特例(40万円未満を取得年度に全額経費)
取得価額が10万円以上40万円未満の資産は、取得して事業に使った年度に全額を経費にできます(1年の合計300万円まで)。本来は耐用年数にわたって減価償却する資産を、1年目にまとめて経費にできる制度です。
適用条件:青色申告をしている中小企業者等(資本金1億円以下などの中小企業者で、常時使用する従業員が400人以下。一部の法人は300人以下)、または青色申告で常時使用する従業員が400人以下の個人事業主。令和11年3月31日までに取得したものが対象で、申告書に明細書の添付が必要です(租税特別措置法第67条の5・第28条の2、同施行令第39条の28・第18条の5)。
上限が30万円未満から40万円未満に引き上げられたのは、令和8年4月1日以後に取得したものからです。それより前に取得したものは30万円未満のままで、従業員数などの要件も改正前の規定によります(令和8年法律第12号附則第65条・第35条「なお従前の例による」)。国税庁タックスアンサー No.5408 には改正前の内容(30万円未満・令和8年3月31日まで)が掲載されている時期があるため、条文とあわせて確認してください。
たとえばカメラ25万円+設置工事費10万円=合計35万円なら、令和8年4月1日以後の取得であれば、取得した年度に35万円全額を経費にできます。それより前の取得では30万円以上になるため、この特例の対象外です。
処理②:一括償却資産(20万円未満を3年で均等に経費)
取得価額が20万円未満の資産は、一括償却資産として3年で均等に経費にできます(法人は事業年度の月数÷36で計算)。少額減価償却資産の特例と違い、青色申告でなくても使えます(法人税法施行令第133条の2・所得税法施行令第139条)。
10万円以上20万円未満の資産は処理①と処理②のどちらも候補になります。どちらを選ぶかはその年の利益の状況などで変わるため、顧問税理士と決めてください。
処理③:10万円未満は取得年度に一括で経費
取得価額10万円未満は、青色申告かどうかに関わらず、すべての事業者が取得した年度に一括で経費にできます。特例ではなく通常の処理ですが、判定は工事費込み・採用している消費税の経理方式での金額で行う点に注意してください。
複数台・システム一式導入時の計上単位の考え方
防犯カメラを複数台まとめて購入したり、録画機・モニターとセットで購入したりしたときは、何を「1単位」として10万円・20万円・40万円を判定するかが問題になります。
原則:通常1単位として取引される単位ごとに判定する
法人税基本通達7-1-11は、10万円未満・20万円未満かどうかを「通常1単位として取引されるその単位」ごとに判定し、工具、器具及び備品については「1個、1組又は1そろいごと」に判定するとしています。
国税庁のタックスアンサー No.5403 では、応接セットはテーブルと椅子の1組で、カーテンは1枚では機能しないため部屋ごとの合計で判定する例が示されています。防犯カメラも、1台ごとに判定するのか、録画機とあわせた一式で判定するのかは、機器の組み合わせと取引の単位で変わります。
セット・システム一式の場合は機能と取引単位で判断する
- 単体で機能し、単体で取引される場合:1台ごとに取得価額を判定する考え方になる
- カメラ・録画機・モニターが一体となって機能し、一式で取引される場合:一式の合計で判定される可能性がある(前出の国税庁の質疑応答事例は、一体となって機能し一式で販売される装置を1つの資産として耐用年数を判定している)
- 残しておく資料:見積書・請求書の内訳(機器ごとの単価と工事費)
カメラ4台と録画機を一式で導入した場合、1台ずつなら10万円未満でも、一式で判定すると10万円を超えることがあります。どちらになるかで処理が大きく変わるため、導入前に内訳を示して顧問税理士または国税庁タックスアンサーで確認してください。
防犯カメラの導入コストと会計処理の関係
会計処理の区分は取得価額で決まるため、導入方法と見積の取り方が処理に直接影響します。
方法①:補助金を受けた場合は圧縮記帳を検討する
国や地方公共団体の補助金で固定資産を取得した場合、法人は補助金に相当する金額の範囲で帳簿価額を減額する「圧縮記帳」ができます(法人税法第42条。補助金の返還が不要と確定していることなどが条件)。個人事業主は、同じ条件の補助金を総収入金額に算入しない扱いがあります(所得税法第42条)。自治体の防犯カメラ補助金の対象者は自治体ごとに違うため、事業者が申請できるかを先に確認してください。国の中小企業向け制度でカメラが対象になるかどうかは、防犯カメラはIT導入補助金の対象かで区分ごとに整理しています。
方法②:レンタルとリースは契約の中身で扱いが分かれる
中途解約できるレンタルの利用料は、毎月「賃借料」などの費用として処理します。一方、中途解約ができず、支払う賃借料の合計が機器の取得に通常要する価額のおおむね90%を超える契約などは、税務上の「リース取引」として売買があったものとして扱われます(法人税法第64条の2・同施行令第131条の2、個人は所得税法第67条の2)。所有権が移転しないリースでも同じです。リース取引で賃借料として費用処理した金額は、償却費として処理した金額に含まれます(法人税法施行令第131条の2第3項)。
「0円プラン」や月額制を検討している場合は、契約が中途解約できるかどうかを先に確認してください。違いは防犯カメラのリース・レンタルの違いで整理しています。
方法③:複数業者の見積で本体と工事費の内訳を確認する
防犯カメラの設置費用(本体+工事費)は業者によって異なります。複数の業者から見積を取ると、価格が妥当かを比べられるうえ、機器ごとの単価と工事費の内訳が手元に残り、上で見た計上単位の判定にも使えます。
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よくある質問
Q. 防犯カメラの法定耐用年数は何年ですか?
「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」別表第一に「防犯カメラ」という品目はなく、どの細目に当てはめるかで年数が変わります。国税庁の質疑応答事例では、監視用カメラ・モニター・インターホン等が一体となって機能し一式で販売されるドア自動管理装置に「インターホーン及び放送用設備」の6年を当てています。別表には「カメラ、映画撮影機、映写機及び望遠鏡」の5年という細目もあります。自社の構成でどれに当たるかは顧問税理士に確認してください。
Q. 設置工事費はカメラ本体と合算しますか?
合算します。減価償却資産の取得価額は、購入の代価に「その資産を事業の用に供するために直接要した費用」を加えた金額です(法人税法施行令第54条)。カメラ8万円+設置工事費4万円なら取得価額は12万円で、10万円未満の一括経費にはできません。
Q. 10万円未満かどうかは税込・税抜のどちらで判定しますか?
会社が採用している消費税の経理方式で判定します。税抜経理方式なら税抜金額、税込経理方式なら税込金額が取得価額です。消費税の免税事業者は税込経理方式しか採用できないため税込金額で判定します(国税庁タックスアンサー No.5403 の質疑応答)。
Q. 月額制のクラウドカメラの利用料はどう処理しますか?
録画・閲覧サービスの月額利用料は資産ではないため、毎月の費用として処理します。勘定科目の名前は法令で決まっていないので、通信費・支払手数料など社内で継続して使う科目を選びます。カメラ本体を購入した場合は、本体と工事費の合計で10万円・20万円・40万円の区分を判定します。
Q. 個人事業主も同じ処理ですか?
基本は同じです。10万円未満は一括で必要経費(所得税法施行令第138条)、20万円未満は3年で均等に必要経費にでき(同第139条)、青色申告で常時使用する従業員が400人以下の個人事業主は40万円未満の特例も使えます(租税特別措置法第28条の2・同施行令第18条の5)。減価償却の方法を届け出ていなければ定額法です(所得税法施行令第125条)。
Q. 少額減価償却資産の特例(40万円未満)の条件は何ですか?
青色申告をしている中小企業者等(資本金1億円以下などの中小企業者で、常時使用する従業員が400人以下。一部の法人は300人以下)が、令和11年3月31日までに取得して事業に使った取得価額10万円以上40万円未満の資産が対象で、1年の合計300万円までです(租税特別措置法第67条の5・同施行令第39条の28)。40万円未満になったのは令和8年4月1日以後に取得したものからで、それより前に取得したものは30万円未満です(令和8年法律第12号附則第65条)。申告書に明細書の添付が必要です。
防犯カメラを追加・入れ替えるとき|見積の内訳で処理が決まる
防犯カメラの勘定科目・特例の適用可否は、取得価額(本体+設置工事費の合計)と、何を1単位として取引したかで決まります。これから台数を増やす・入れ替える場合は、機器ごとの単価と工事費が分かる見積を取っておくと、経理処理の判断がしやすくなります。
- 取得価額10万円未満:取得した年度に一括で経費(すべての事業者)
- 取得価額20万円未満:一括償却資産として3年で均等に経費(すべての事業者)
- 取得価額40万円未満(青色申告の中小企業者等):少額減価償却資産の特例で取得年度に全額経費(令和8年4月1日以後の取得分・年300万円まで。それより前の取得分は30万円未満)
- 上記以外:工具器具備品として耐用年数(構成により5年・6年など)で減価償却
