【2026年版】防犯カメラの減価償却・勘定科目完全ガイド

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防犯カメラの勘定科目は、法人税法施行令第13条に基づき、取得価額10万円以上であれば「工具器具備品」として固定資産に計上するのが原則です。法定耐用年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」により6年と定められています。
「設置工事費はカメラ本体と合算するのか」「クラウドカメラの月額料金はどう処理するのか」「中小企業の少額減価償却特例は使えるのか」——防犯カメラを導入した総務・経理担当者が直面するこれらの疑問に、仕訳例を交えて解説します。
設置費用の相場や維持費・ランニングコストと合わせて確認すると、導入前の総コスト把握に役立ちます。
防犯カメラの勘定科目は「取得価額」と「設置方法」の2軸で決まる
防犯カメラの勘定科目は、取得価額(本体+設置工事費の合計)と設置方法(独立型か建物組み込み型か)の2軸で判断します。下記の判断フローを参考にしてください。
| 取得価額 | 設置方法 | 勘定科目 | 耐用年数 | 処理方法 |
| 10万円未満 | いずれも | 消耗品費 | — | 一括費用計上(即時損金) |
| 10万円以上20万円未満 | 独立設置型 | 工具器具備品 | 6年 | 一括償却資産(3年均等)または少額特例(中小企業) |
| 10万円以上30万円未満 | 独立設置型 | 工具器具備品 | 6年 | 少額減価償却特例(中小企業のみ・即時全額損金) |
| 30万円以上 | 独立設置型 | 工具器具備品 | 6年 | 定額法で減価償却(6年間) |
| 10万円以上(金額問わず) | 建物に組み込み | 建物附属設備 | 15年 | 定額法で減価償却(15年間) |
10万円未満は「消耗品費」で一括費用計上
取得価額(設置工事費を含む合計額)が10万円未満の場合、防犯カメラは「消耗品費」として取得した事業年度に全額を費用計上できます。固定資産への計上も減価償却も不要です。これは法人・個人事業主のどちらにも適用されます。
10万円以上は「工具器具備品」として固定資産計上
取得価額が10万円以上で、独立して設置できるタイプの防犯カメラは「工具器具備品」として固定資産に計上します。法定耐用年数は6年で、原則として定額法により減価償却します。
「独立して設置できる」とは、壁面やポールに取り付けるタイプで、建物の構造に関係なく移設・撤去が可能なカメラを指します。市場に流通している一般的な防犯カメラ(バレット型・ドーム型など)の大多数がこれに該当します。
注意すべき点として、カメラ本体が8万円でも設置工事費が3万円かかれば合計11万円となり、10万円以上として工具器具備品への計上が必要になります。取得価額は本体のみで判断しない点を覚えておいてください。
建物に組み込む場合は「建物附属設備」(耐用年数15年)
新築・改修工事と一体で設置し、建物の電気配線と一体化する防犯カメラは「建物附属設備(電気設備)」として計上します。耐用年数は15年となり、工具器具備品(6年)より長期の減価償却が必要です。
どちらの区分に該当するかは、設置の実態(後から取り外せるか否か)と工事の性質で判断します。判断に迷う場合は税理士に確認することを推奨します。
法定耐用年数は原則6年(減価償却資産の耐用年数等に関する省令に基づく)
防犯カメラの法定耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(e-Gov法令検索)の別表第一「機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表」に基づきます。
工具器具備品として計上する場合、防犯カメラは「器具及び備品 - その他のもの」に分類され、耐用年数は6年となるのが一般的です。
耐用年数の分類と適用基準
| 計上区分 | 法定耐用年数 | 適用される主な条件 |
| 工具器具備品(器具及び備品) | 6年 | 独立設置型・移設可能なカメラ(最も一般的) |
| 建物附属設備(電気設備) | 15年 | 建物工事と一体・配線が建物構造に組み込まれている |
| 電子計算機(事務機器) | 4〜5年 | 録画・管理用PCやサーバー機能を持つNVR(ネットワーク録画機) |
防犯カメラの実際の寿命は5〜10年であり、法定耐用年数6年とほぼ一致します。耐用年数を過ぎた後も使用し続けることは可能ですが、簿価はゼロ(備忘価額1円)となります。詳しくは防犯カメラの耐用年数と買い替えのタイミングを参照してください。
具体的な仕訳・減価償却の計算方法
仕訳の具体例を3パターン示します。いずれも税率や細則は最新の法令・税理士の確認を優先してください。
仕訳例1:カメラ購入時(工具器具備品・定額法・耐用年数6年)
前提:防犯カメラ本体180,000円(税込)、設置工事費42,000円(税込)、合計取得価額222,000円の場合。中小企業の少額特例対象外(30万円以上ではないが特例を選択しない場合)。
| 仕訳のタイミング | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
| 購入時 | 工具器具備品 | 222,000円 | 現金(または普通預金) | 222,000円 |
| 決算時(年1回) | 減価償却費 | 37,000円 | 工具器具備品 | 37,000円 |
年間減価償却費 = 222,000円 ÷ 6年 = 37,000円(定額法・残存価額ゼロの場合)。6年間で合計222,000円を費用化します。
仕訳例2:設置工事費(配線工事)の処理方法
防犯カメラの設置工事費は、原則としてカメラ本体と合算して取得価額を判定します。ただし以下の条件に注意してください。
- 合算が原則:カメラ専用の配線・取付工事費はカメラ本体の取得価額に含める
- 例外:既存の電気設備の修繕として行われる工事は修繕費として別途計上できる場合がある
- 判断のポイント:工事の目的が「カメラを使用可能にするため」かどうか
カメラ本体が7万円でも設置工事費が5万円の場合、合計12万円として工具器具備品に計上します。消耗品費扱い(10万円未満)にはなりません。
仕訳例3:クラウド型(月額制)防犯カメラの処理
Safie(セーフィー)などのクラウド録画型防犯カメラは、月額のサービス料が発生します。この費用は資産計上せず、毎月の費用として処理します。
| 費用の種類 | 勘定科目 | 処理方法 |
| 月額サービス料(録画・管理) | 支払手数料または通信費 | 毎月費用計上(資産計上・減価償却なし) |
| カメラ機器の初期費用(購入の場合) | 消耗品費または工具器具備品 | 取得価額10万円基準で判断 |
| カメラ機器のレンタル料 | 賃借料 | 毎月費用計上(資産計上なし) |
クラウド型カメラは「機器を購入せずサービスを利用する」モデルのため、月額費用は全額その期の損金に算入できます。初期投資が少なく、会計処理も簡素なのがメリットです。詳しくはクラウド録画の仕組みと選び方を参照してください。
中小企業が活用できる3つの特例
資本金1億円以下の中小企業(または青色申告の個人事業主)は、以下の3つの特例を活用することで節税効果を高められます。
特例①:少額減価償却資産の特例(30万円未満を即時全額損金算入)
取得価額が30万円未満の場合、取得した事業年度に全額を費用計上できます(年間合計300万円まで)。本来6年かけて減価償却すべき資産を、取得年度に一括で損金算入できるため、節税効果が最大になります。
適用条件:青色申告法人(または青色申告個人事業主)、資本金1億円以下、取得価額30万円未満、事業年度合計300万円以下。租税特別措置法第28条の2(個人)・第67条の5(法人)に基づく特例です。
防犯カメラ1台あたりの取得価額が30万円未満であれば、この特例が最も有利な選択です。たとえばカメラ18万円+設置工事費7万円=合計25万円であれば、取得年度に全額25万円を損金算入できます。
特例②:一括償却資産(20万円未満を3年均等償却)
取得価額が20万円未満の場合、一括償却資産として事業年度を問わず3年間均等に費用計上できます(年間取得価額の1/3ずつ)。少額特例と異なり、青色申告の要件なく使えるのがメリットです。
ただし少額特例(30万円未満即時全額)が使える中小企業は、一括償却資産よりも少額特例の方が節税効果が高いため、そちらを優先する方が合理的です。
特例③:少額資産(10万円未満は消耗品費で一括計上)
取得価額10万円未満は特例や青色申告要件に関わらず、すべての事業者が消耗品費として一括計上できます。これは通常の処理であり、特例とはいえませんが、「防犯カメラを安く抑えれば会計処理が楽になる」という視点でコスト設計に活用できます。
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複数台・システム一式導入時の計上単位の考え方
防犯カメラを複数台まとめて購入したり、録画機・モニターとセット購入する際は、資産の「計上単位」の判断が必要です。上位記事の多くがこの論点を省略しているため、ここで丁寧に解説します。
原則:1取引単位ごとに判定する
国税庁の法人税基本通達7-1-11では、減価償却資産の取得価額は「通常1単位として取引される単位ごと」に判定するとされています。防犯カメラの場合、1台ずつが独立した取引単位となるため、原則として1台ごとに取得価額を判定します。
例えばカメラ4台×55,000円(税込)を購入した場合、1台あたり55,000円で判定します。4台分の合計220,000円で判定するわけではありません。1台55,000円 < 10万円のため、全台を消耗品費として一括計上できます。
セット・システム一式の場合は機能で判断する
カメラ本体と録画機(DVR/NVR)、モニターをセットで購入した場合は、それぞれ独立して機能するかどうかで判断が変わります。
- カメラ単体で機能する場合:カメラと録画機は別々の資産として個別に取得価額を判定
- 一体として初めて機能する場合(システム機器):セット全体の合計額で判定する可能性がある
- 判断基準:「単体では本来の機能を発揮できないか」どうか
実務上、一般的な防犯カメラ(IPカメラ+NVR)はカメラ単体でもローカル録画・ストリーミングが可能なことが多いため、個別判定が適用されることが多いです。ただし判断が難しい場合は税理士または国税庁タックスアンサーへの照会を推奨します。
防犯カメラの導入コストを最適化する3つの方法
会計処理の最適化と合わせて、導入コスト自体を下げることが総コスト削減の近道です。
方法①:補助金・助成金を活用して取得価額を下げる
自治体の防犯カメラ補助金を活用すると、取得価額(補助金控除後の実質負担額)を下げられます。補助金を受け取った場合、補助金相当額を「圧縮記帳」として処理し、資産の取得価額を圧縮する会計処理が認められています(国庫補助金等の圧縮記帳・租税特別措置法第42条の5等)。
たとえば100万円のシステムを補助金30万円で取得した場合、実質負担額70万円を取得価額として資産計上することが可能です(圧縮記帳を選択した場合)。少額特例の適用判定も圧縮後の70万円で行われます。
方法②:リース・レンタルで資産計上を回避する
防犯カメラのリース・レンタルを選択すると、資産計上・減価償却が不要になり、毎月の利用料を「賃借料」として全額費用計上できます。初期費用ゼロで導入でき、会計処理も簡素になるため、設備投資の固定化を避けたい事業者に向いています。
ファイナンスリース(所有権移転型)は例外で、購入と同等に扱われるため資産計上・減価償却が必要です。オペレーティングリースや通常のレンタルのみが賃借料として費用計上できます。
方法③:複数業者への相見積もりで設置費を最適化する
防犯カメラの設置費用(本体+工事費)は業者によって大きく異なります。相見積もりをとることで、同スペックのシステムを20〜30%安く導入できるケースが珍しくありません。取得価額の最小化は、少額特例の適用可否にも直接影響します。
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よくある質問
Q. 防犯カメラの法定耐用年数は何年ですか?
工具器具備品として計上した場合は原則6年です。ただし建物の電気設備として一体的に設置(建物附属設備計上)した場合は15年が適用されます。いずれも「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表第一に基づきます。
Q. 設置工事費はカメラ本体と合算しますか?
設置工事費(配線・取付工事費)はカメラ本体と合算して取得価額を判定するのが原則です。たとえばカメラ8万円+設置工事費4万円の場合、合計12万円として工具器具備品に計上します。ただし工事費が独立した修繕・改修工事である場合は別途判断します。
Q. 月額制のクラウドカメラは費用計上できますか?
はい、月額制のクラウドカメラ(Safie等)の利用料は資産計上せず、毎月の費用として「支払手数料」または「通信費」に計上します。資産計上・減価償却の対象にはなりません。
Q. 個人事業主も減価償却できますか?
できます。個人事業主も取得価額10万円以上の防犯カメラは工具器具備品として固定資産計上し、定額法(または定率法)で減価償却します。中小企業の少額減価償却特例(30万円未満)も青色申告を行う個人事業主(常時使用従業員500人以下)が対象となります。
Q. 少額減価償却特例を使うための条件は何ですか?
青色申告法人(または青色申告個人事業主)であること、資本金1億円以下の中小企業であること、取得価額が30万円未満であること、事業年度を通じた合計限度額が300万円以下であることが条件です。この特例を使うと、取得した事業年度に全額を費用計上できるため節税効果が大きくなります。
防犯カメラ導入前に確認すべきこと|相見積もりで取得価額を最適化する
防犯カメラの勘定科目・耐用年数・特例の適用可否は、取得価額(本体+設置工事費の合計)によって決まります。業者によって設置工事費が2〜3倍異なるケースがあり、相見積もりをとることで取得価額を抑え、少額特例の適用範囲に収めることができる場合があります。
会計処理の最適化と導入コスト削減を同時に実現するために、まず複数業者への無料相談から始めることをおすすめします。
- 取得価額10万円未満:消耗品費として一括計上(最もシンプル)
- 取得価額30万円未満(中小企業):少額特例で即時全額損金算入
- 取得価額30万円以上:工具器具備品として6年間の減価償却
