防犯カメラはIT導入補助金の対象か|枠別判定

防犯カメラはIT導入補助金の対象か|枠別判定

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令和7年度補正予算の事業から、「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」へ名称が変わりました。中小企業庁が公表した制度概要に、旧:IT導入補助金と併記されています。防犯カメラの導入を検討していて、業者から「IT導入補助金が使えます」と言われた担当者にとって、まず引っかかるのがこの点です。

名称より重いのは中身のほうです。カメラ本体の購入費と設置工事費は、この補助金のどの申請区分でも補助対象経費に入っていません。それでも「対象になる」と説明されるのは、ソフトウェアやクラウドサービスとしてなら通る余地があるためで、その余地は区分ごとに条件が違います。この記事では、公表資料に書かれている対象経費を区分ごとに突き合わせ、防犯カメラのどの費用がどこまで通るのかを判定できる形に整理します。中小企業の定義、採択率の実数、通らなかったときの代替ルートまで扱います。

論点結論根拠
制度名は変わったかデジタル化・AI導入補助金に変更令和7年度補正予算事業から(中小企業庁)
カメラ本体・設置工事費5区分すべてで対象外どの区分の対象経費にも記載がない
クラウド録画の利用料条件付きで対象になり得る通常枠の対象経費にクラウド利用料が含まれる
AIカメラ複数者連携枠のみ明記消費動向等分析経費のハードウェアに記載
セキュリティ対策推進枠対象外IPAのお助け隊サービス利用料に限定
採択率(全区分)2024年69.9%→2025年43.8%中小企業庁公表の申請・採択件数から計算

防犯カメラはIT導入補助金の対象になるのか

カメラ本体は対象になりません。対象になり得るのは、カメラに付随するソフトウェアとクラウドサービスの部分だけです。この線引きを先に持っておくと、業者の提案が制度に沿っているかどうかを自分で判断できます。

2026年から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わった

中小企業庁の「デジタル化・AI導入補助金2026」の概要(令和8年4月)は、令和7年度補正予算事業から「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」へ名称を変更したと明記しています。事業の目的は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、デジタル化やDX等に向けたAIを含むITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援することです。

注意してほしいのは、目的を説明する文にハードウェアという語が一度も出てこない点です。支援の対象はITツール、つまりソフトウェアとサービスです。ハードウェアは一部の申請区分で例外的に認められているにすぎません。制度の設計そのものが、機器を買うための補助金ではないということです。ここを取り違えたまま業者と話を進めると、見積もりが出た段階で前提が崩れます。

カメラ本体と設置工事費は、どの区分の対象経費にも入っていない

同資料が挙げる申請区分は、通常枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠の5つです。それぞれの補助対象経費を並べると、防犯カメラ本体という項目も、設置工事費という項目も出てきません。ハードウェア購入費が対象経費に含まれる区分でも、認められている機器の種類が名指しで限定されています

インボイス枠が認めるハードウェアは、ソフトウェア・クラウドサービスの使用に資する機器としてPC・タブレット、レジ・券売機等です。防犯カメラはここに含まれません。工事費の相場感を先に押さえたい場合は防犯カメラの工事費相場、機器と工事を合わせた総額は防犯カメラ設置費用の相場で確認してください。

5区分の対象経費を徹底比較|AIカメラが明記されたのは1つだけ

区分ごとに対象経費が違うため、同じ「防犯カメラの導入」でも判定が変わります。公表資料の記載をそのまま突き合わせた結果が次の図です。

区分別|防犯カメラはどこまで対象になるか申請区分ハード費カメラ本体補助率補助上限通常枠ソフト・クラウド・導入関連費のみ対象外×1/2以内5万〜450万円インボイス枠(対応類型)ハードはPC・タブレット/レジ・券売機に限定対象×ハード1/2PC10万・レジ20万インボイス枠(電子取引類型)クラウド利用料のみ・発注者が申請する型対象外×中小2/3350万円以下複数者連携デジタル化・AI導入枠消費動向等分析経費にAIカメラを明記/参加10者以上対象△AIのみ分析経費2/3合計3,000万円セキュリティ対策推進枠IPAのお助け隊サービス利用料に限定対象外×中小1/25万〜150万円カメラ本体と設置工事費は5区分すべてで対象外通せる可能性があるのは、ソフトウェアとクラウドサービスの部分だけ判定を分ける3つの条件① クラウド録画は「事務局に登録されたITツール」であること(登録外は金額に関係なく対象外)② AIカメラは複数者連携枠のみ。商工団体等が主体で参加事業者10者以上が要件③ 申請は「IT導入支援事業者」経由。ベンダーが未登録なら申請そのものができない出典:中小企業庁「『デジタル化・AI導入補助金2026』の概要」(令和8年4月)の記載を整理
デジタル化・AI導入補助金2026の区分別判定。カメラ本体はすべての区分で対象外で、AIカメラが名前で挙がるのは複数者連携枠だけ

通常枠 — ハードウェア購入費が対象経費にない

通常枠の補助対象経費は3つに整理されています。ソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)、機能拡張やデータ連携ツールの導入・セキュリティ対策実施に係る費用である導入関連費(オプション)、そして導入・活用コンサルティングや導入設定・マニュアル作成・導入研修・保守サポートに係る費用である導入関連費(役務の提供)です。ハードウェア購入費という項目自体が存在しません

補助額はITツールのプロセス数で決まります。1〜3つまでなら5万円以上150万円未満、4つ以上なら150万円以上450万円以下で、補助率はいずれも2分の1以内です。令和6年10月から令和7年9月の間に、地域別最低賃金以上から令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上あることを示した事業者は、補助率が3分の2以内に上がります。

防犯カメラに引き付けると、可能性が残るのはクラウド録画サービスの利用料です。これは自動的に通るものではありません。補助金の申請は、事務局に登録されたIT導入支援事業者(ITツールを提供するベンダー)のサポートを受けて行う仕組みで、ベンダー側が支援事業者登録とITツール登録を済ませていることが前提になります。導入したいサービスが登録されていなければ、内容がどれだけ制度の趣旨に合っていても申請自体ができません。クラウド方式の特性と月額の水準はクラウド録画の防犯カメラ防犯カメラの月額費用にまとめています。

インボイス枠 — ハードウェアはPC・レジ等に限定される

インボイス枠(インボイス対応類型)は、ハードウェアが対象経費に入る数少ない区分です。対象になるのは、ソフトウェア・クラウドサービスの使用に資する機器としてPC・タブレット、レジ・券売機等の購入費用と設置費用に限られます。補助額の上限はPC・タブレット等が10万円まで、レジ・券売機等が20万円までで、補助率はどちらも2分の1以内です。

ソフトウェア側も限定されています。インボイス制度に対応し、会計・受発注・決済の機能を有するものに限る、という条件が付いています。2機能以上を有する場合は補助額350万円以下、1機能の場合は50万円以下の申請が可能です。補助率は補助額50万円以下の部分が4分の3以内、小規模事業者は5分の4以内、50万円超から350万円までの部分が3分の2以内です。防犯カメラは会計・受発注・決済のいずれの機能も持たないため、この区分の入口に立てません

電子取引類型はさらに範囲が狭く、対象経費はITツールの導入費用(クラウド利用料最大2年分)だけです。発注者がインボイス制度対応の受発注ソフトを導入し、取引先の中小企業に無償でアカウントを供与する場合を支援する仕組みで、防犯カメラとは関係しません。

複数者連携枠 — AIカメラが唯一名前で挙がる区分

カメラという語が公表資料に現れるのは、この区分だけです。複数者連携デジタル化・AI導入枠の補助対象経費は3つに分かれ、そのうち(2)消費動向等分析経費のハードウェアとしてAIカメラ、ビーコン、デジタルサイネージ等が挙げられています。補助率は3分の2以内、(1)基盤導入経費と合わせた補助上限額は3,000万円です。

条件は重いと考えてください。補助事業者になれるのは、商店街振興組合・商工会議所・商工会・事業協同組合などの商工団体等、当該地域のまちづくり・商業活性化・観光振興等の担い手として事業に取り組めるまちづくり会社や観光地域づくり法人、または複数の中小企業・小規模事業者等により形成されるコンソーシアムです。事業に参加する中小企業・小規模事業者等が10者以上であることなどが要件になります。

この経費区分の名称は消費動向等分析である点も見落とせません。同じ区分のITツールとして挙がっているのも消費動向分析システム、経営分析システム、需要予測システム、電子地域通貨システム、キャッシュレスシステム、生体認証決済システム等であり、想定されているのは来街者の分析による地域DXです。防犯目的だけのカメラをこの区分に載せる説明は成り立ちません。商店街として来街者分析を行い、その手段としてAIカメラを設置する計画であれば射程に入ります。商店街での設置の進め方は商店街の防犯カメラ設置、自治会単位の進め方は町内会・自治会の防犯カメラで扱っています。

セキュリティ対策推進枠 — 対象はIPAのリスト掲載サービス

名前から防犯カメラを連想しやすい区分ですが、対象はサイバーセキュリティ対策です。補助対象になるITツールは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表するサイバーセキュリティお助け隊サービスリストに掲載されているサービスのうち、本事業においてIT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に事前登録されたサービスを指します。補助されるのはサービス利用料の最大2年分、補助額は5万円から150万円以下、補助率は中小企業が2分の1以内、小規模事業者が3分の2以内です。

ネットワークカメラを社内LANにつなぐこと自体はサイバーリスクを増やしますが、それはカメラを守る側の話であって、カメラを買う側の話ではありません。ネットワーク接続に伴うリスクへの実務的な備えは防犯カメラのハッキング対策にまとめています。

補助の対象になる「中小企業」の範囲【2026年版】

自社が中小企業に当たるかどうかは、業種ごとの資本金または従業員数で決まります。どちらか一方を満たせば該当します。医療法人・社会福祉法人・学校法人が明示的に含まれている点は、施設向けの導入を検討している担当者にとって重要です。

業種資本金・出資の総額常時使用する従業員数
製造業・建設業・運輸業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く)5千万円以下100人以下
小売業5千万円以下50人以下
旅館業5千万円以下200人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業3億円以下300人以下
その他の業種3億円以下300人以下
医療法人・社会福祉法人300人以下
学校法人300人以下
商工会・商工会議所100人以下

出典は中小企業庁「『デジタル化・AI導入補助金2026』の概要」(令和8年4月)で、防犯カメラ導入の相談が多い業種を抜き出しています。各区分には個人事業主も含まれます。特定非営利活動法人や中小企業団体、財団法人・社団法人は、主たる業種の区分に応じた従業員規模以下であれば対象です。

小売業の基準が資本金5千万円以下または従業員50人以下と、他業種より厳しい点に注意してください。店舗数が増えて従業員が50人を超えた小売事業者は、資本金の要件で判定することになります。複数店舗を運営していて従業員数が基準に近い場合は、申請前に自社の区分を確定させてください。区分を取り違えたまま準備を進めると、提出直前に組み立て直しになります。店舗運営の防犯設計そのものは店舗の防犯カメラおすすめ、オフィスの場合はオフィスの防犯カメラで扱っています。

採択率の実測|2024年69.9%から2025年43.8%へ低下

申請すれば通る補助金ではありません。中小企業庁が公表した申請件数と採択件数を割り算すると、直近2年で採択率が大きく下がっていることがわかります。

デジタル化・AI導入補助金の採択率の推移と、申請前に中小企業が確認すべき事項の解説
申請区分2024 申請/採択2024 採択率2025 申請/採択2025 採択率
通常枠25,140/16,54065.8%23,672/8,93637.7%
インボイス対応類型46,394/33,43872.1%56,029/25,90046.2%
セキュリティ対策推進枠225/19285.3%730/36049.3%
合計71,767/50,17569.9%80,439/35,20243.8%

件数は中小企業庁「『デジタル化・AI導入補助金2026』の概要」(令和8年4月)に掲載されたIT導入補助金2024・2025の申請・採択結果で、採択率は当サイトで割り算した試算値です。合計には電子取引類型と複数社連携枠の件数も含めています。

読み取れることは2つあります。ひとつは、申請件数が71,767件から80,439件へ増えているのに、採択件数は50,175件から35,202件へ減っていることです。予算枠に対して申請が増えれば、審査は当然厳しくなります。もうひとつは、通常枠の落ち込みが最も大きいことです。65.8%から37.7%へ、28ポイント下がっています。防犯カメラに関連するクラウドサービスを申請するとしたら入口になるのがこの通常枠であり、最も競争が厳しい区分だという前提で計画を立てる必要があります

実務上の意味は明確です。補助金が下りることを前提に発注時期を決めないでください。採択されなかった場合に設置を延期できるのか、自己負担で進めるのかを先に決める必要があります。同じ失敗は自治体の補助金でも繰り返し起きており、交付決定前に着工して補助が受けられなくなる例は防犯カメラ補助金の活用ガイドでも扱っています。

カメラ本体の負担を下げる現実的な2つのルート

国のデジタル化・AI導入補助金でカメラ本体が対象外である以上、機器代を軽くしたいなら別の手段を使うことになります。現実的な選択肢は2つです。

ルート1|自治体の防犯カメラ補助金を先に当たる

カメラ本体と設置工事費を直接補助しているのは、多くの場合、都道府県や市区町村の制度です。国の制度がソフトウェアを対象にしているのに対し、自治体の防犯カメラ補助金は機器の購入と設置を対象にしており、目的がそもそも違います。東京都の個人向け防犯機器の購入補助のように、対象者と補助額を明示している制度が各地にあります。

多くの自治体制度は、対象者を町会・自治会・商店街などの地域団体に限定しています。1事業者として申請できる制度は限られており、そこが国の制度との使い分けの分かれ目になります。自治体別の条件は防犯カメラ補助金の活用ガイド防犯カメラの助成金にまとめました。国の他の公募制度を横断的に確認したい場合は、中小企業庁の補助金公募情報で現在の公募状況を確認できます。

ルート2|補助金を待たずに月額で導入する

補助金の採択を待つ間に、被害が起きる可能性は消えません。申請から交付決定、実績報告までの期間を待てない事情がある場合は、初期費用を抑えたレンタル方式や月額方式で先に設置する判断が合理的です。採択率が4割前後という数字を踏まえれば、補助金を前提にした計画のほうがむしろリスクになります

月額方式には別の注意点もあります。契約期間の縛りと解約金、総額での比較が必要になる点です。レンタルと購入の損益分岐はレンタルと購入はどちらが得か、月額料金の内訳は防犯カメラの月額費用で比較しています。設備として計上する場合の会計処理は防犯カメラの勘定科目と減価償却を参照してください。

補助金を追いかけないほうがよいケース

  • 設置台数が1〜2台の小規模な導入 — 申請の準備、支援事業者との調整、実績報告にかかる工数が、補助見込み額に見合いません。自治体制度で機器代が直接補助される場合を除き、通常価格で発注したほうが早く終わります。
  • 被害が現に発生している事業所 — 交付決定前に契約・着工すると補助対象外になるのが補助金制度の原則です。待てない状況なら、補助金は最初から計算に入れないでください。
  • 導入したいサービスのベンダーがIT導入支援事業者に登録していない — 申請の入口が閉じています。登録済みの別サービスに乗り換えてまで補助金を取りに行くかどうかは、機能の妥協と補助額を天秤にかけて判断してください。

見積もりを取るときの依頼先

業者選びで確認したい点は2つです。補助金の対象範囲を正確に説明できるかと、補助金が使えない前提の見積もりも同時に出せるかです。「IT導入補助金が使えます」とだけ言い、どの区分のどの経費に当たるかを説明しない業者は、制度を確認せずに営業トークとして使っている可能性があります。

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ココロアソビ — 補助金の可否を待たずに始めたい事業者に

採択率が4割前後という前提に立つと、補助金の結果を待ってから設置を決める進め方は時間の面で不利になります。ココロアソビは機器一式のレンタル方式で、初期費用をかけずに導入できます。事業所に自動販売機を設置できる場合、その売上でカメラ費用を賄う仕組みにより実質無料になります。防犯カメラ・HDDレコーダー・小型モニターのセットに設置工事と保守が含まれ、自販機を置かない場合は月額6,380円(税込)のプランがあります。

※契約期間は3年で、期間内の解約には解約金が発生します。自販機プランは設置スペースの確保が条件です。月額方式は資産を購入する形ではないため、補助金の対象経費としての扱いも購入とは異なります。会計処理を確定させてから契約してください。口コミがまだ少ないサービスのため、必要な台数と画角に対応できるかは申し込み時に確認が必要です。

業者の説明を検証する2つの質問

補助金を持ち出してきた業者には、次の2つを聞いてください。ひとつは「どの申請区分の、どの補助対象経費に当たりますか」です。区分名と経費名の両方を即答できなければ、制度を確認していない可能性があります。もうひとつは「御社はIT導入支援事業者として登録済みですか、提案いただくサービスはITツールとして登録済みですか」です。この2つが揃っていなければ、その業者経由では申請できません。業者選定の基準そのものは防犯カメラ設置業者おすすめ4選にまとめています。

よくある質問

Q. IT導入補助金という制度はもうないのですか?

制度は続いていますが、名称が変わりました。中小企業庁が公表した「『デジタル化・AI導入補助金2026』の概要」(令和8年4月)は、令和7年度補正予算事業から「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」へ名称を変更したと明記しています。事業の目的は従来と同じく、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、AIを含むITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援することです。検索結果や業者の提案書では旧名称が使われ続けているため、資料を受け取ったときは、その内容がどの年度の公募要領に基づくものかを確認してください。

Q. 防犯カメラ本体の購入費と設置工事費は補助対象になりますか?

なりません。デジタル化・AI導入補助金2026には5つの申請区分がありますが、カメラ本体の購入費と設置工事費は、どの区分の補助対象経費にも挙がっていません。通常枠の対象経費はソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費の3つです。ハードウェア購入費が対象経費に入るのはインボイス枠と複数者連携デジタル化・AI導入枠ですが、インボイス枠で対象になる機器はPC・タブレット等とレジ・券売機等に限定されています。カメラ本体の費用を下げたい場合は、自治体の防犯カメラ補助金を先に確認してください。

Q. クラウド録画サービスの月額料金なら対象になりますか?

条件付きで対象になり得ます。通常枠の補助対象経費にはクラウド利用料(最大2年分)が含まれるためです。ただし補助されるのは、事務局に登録されたIT導入支援事業者が提供し、かつITツールとして事務局に登録されたサービスに限られます。申請者が自分で選んだサービスを後から申請する仕組みではありません。導入したいクラウド録画サービスがITツールとして登録されているか、提供元が支援事業者として登録されているかを、見積もりを取る前にベンダーへ確認してください。登録されていなければ、そのサービスは金額にかかわらず対象外です。

Q. AIカメラが対象になる区分があると聞きました。本当ですか?

本当です。ただし条件が厳しく、単独の事業者では使えません。複数者連携デジタル化・AI導入枠の「消費動向等分析経費」で、対象となるハードウェアとしてAIカメラ、ビーコン、デジタルサイネージ等が明記されています。補助率は3分の2以内です。一方でこの区分の補助事業者は商店街振興組合・商工会議所・商工会・事業協同組合などの商工団体等、まちづくり会社や観光地域づくり法人、または複数の中小企業等で形成するコンソーシアムであり、事業に参加する中小企業・小規模事業者等が10者以上であることなどが要件です。1店舗の防犯目的では要件を満たせません。

Q. セキュリティ対策推進枠なら防犯カメラも入りますか?

入りません。この区分が対象にしているのはサイバーセキュリティ対策です。補助対象になるITツールは、情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に事前登録されたものに限られます。補助されるのはそのサービス利用料の最大2年分で、補助額は5万円から150万円以下、補助率は中小企業が2分の1以内、小規模事業者が3分の2以内です。物理的な侵入対策である防犯カメラは、この区分が想定している対策の範囲に入っていません。

Q. 申請すればほぼ採択されますか?

そう考えないでください。中小企業庁が公表した申請・採択件数を割り算すると、IT導入補助金2024は申請71,767件に対し採択50,175件で69.9%、2025は申請80,439件に対し採択35,202件で43.8%です。1年で26ポイント下がっています。申請区分別に見ると差はさらに大きく、通常枠は2024の65.8%から2025は37.7%へ下がりました。申請件数自体は71,767件から80,439件へ増えているため、競争が激しくなったことが数字に表れています。採択されなかった場合に設置を延期できるのか、自己負担で進めるのかを、申請前に決めておいてください。

申請を検討する前に確認する3つのこと

防犯カメラの導入で国の補助金を使えるかどうかは、機器の性能ではなく費用の内訳で決まります。業者に連絡する前に、次の3点を順に片づけてください。

  1. 見積もりを3つに割る — 機器代、設置工事費、ソフトウェア・クラウド利用料。デジタル化・AI導入補助金で通せる可能性があるのは3つ目だけです。この分解ができていない一式見積もりでは、補助対象額が計算できません。業者に最初から内訳を分けて出すよう依頼してください。
  2. 自社の中小企業区分を確定させる — 業種と、資本金または従業員数で判定します。小売業は資本金5千万円以下または従業員50人以下と基準が厳しく、他業種の感覚で進めると判定が変わります。医療法人・社会福祉法人・学校法人は従業員300人以下で対象です。
  3. 補助金なしの発注計画を並行して作る — 直近の採択率は全区分で43.8%、通常枠は37.7%です。採択されなかったときに設置を延期するのか、自己負担で進めるのかを先に決めてください。交付決定前の契約・着工は補助対象外になるため、待てない事情があるなら補助金は計算から外す判断が合理的です。

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