動物病院の防犯カメラ設置|入院室と麻薬金庫の設計

動物病院の防犯カメラ設置|入院室と麻薬金庫の設計

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動物病院で麻薬を扱うなら、その保管方法は法律で決まっています。麻薬及び向精神薬取締法第34条第2項は、麻薬を他の医薬品と区別し、かぎをかけた堅固な設備内に貯蔵することを義務づけています。獣医療法上の飼育動物診療施設も麻薬業務所に含まれるため、麻薬施用者免許を持つ動物病院はこの規定を守る側にいます

ここが、動物病院の防犯設計を一般のクリニックと分ける最初の分岐点です。守るべきものが「盗まれたら困る資産」ではなく「盗まれたら行政に届け出る義務が生じる医薬品」だからです。同法第35条は、盗取や所在不明が起きたときに都道府県知事へ届け出るよう求めています。届出には品名と数量、事故の状況が要ります。この記事では、保管庫まわりの設計から、入院室の映像を飼い主に見せるかどうかの線引き、診察室を撮るかの判断、診察室数別の台数と費用相場、スタッフへの告知の順に、院長が発注判断に使える形でまとめます。

論点結論根拠
カメラ自体に設置義務はあるかない設置を求める法令は存在しない
麻薬の保管設備に義務はあるかある麻薬及び向精神薬取締法第34条第2項
盗まれたときに届出は要るか要る同法第35条(都道府県知事へ)
診察室を撮ってよいか撮ってよい記録されるのは動物の状態が中心
入院室の映像を飼い主に公開してよいかルールを決めれば可他の患畜とスタッフが同時に写る
映像の保存期間は診療簿と揃えるか揃えない獣医師法第21条の3年は診療簿の話

動物病院に固有の4つのリスク【人のクリニックとの違い】

動物病院の防犯設計は、守る対象を4つに分けると決まります。規制医薬品、預かっている動物、現金、人です。このうち上の2つは人のクリニックには存在しません。

動物病院が守る4つの対象とカメラの置き方① 規制医薬品 ← 獣医療に固有麻薬取締法34条2項の保管義務・35条の事故届置く場所:麻薬金庫・向精神薬の保管棚の正面画角:中身ではなく開扉した人と時刻を記録する② 預かり動物 ← 獣医療に固有入院・術後・ホテル利用。24時間の状態変化がある置く場所:入院室のケージ列・ICU画角:夜間の呼吸・体位がわかる明るさを優先③ 現金獣医療は原則自由診療。1件の窓口決済額が大きい置く場所:受付カウンター・レジ画角:札を数える手元が写る高さに合わせる④ 人死亡・転帰をめぐる強い抗議。院外への犬猫の遺棄置く場所:待合室・診察室・院外の出入口画角:屋外は夜間カラーで人物の識別を確保する人のクリニックと設計が分かれるのは①と②この2つを構成に入れない見積もりは、店舗向けの標準案をそのまま持ち込んだ提案とみてよい撮ってはいけない場所:トイレ・更衣室・スタッフの休憩室。目的の正当性を問わず設置できない入院室の映像を飼い主へ公開するかは、機器選定より先に運用ルールを決めてから判断する
4つの対象のうち①と②が獣医療に固有。この2つを起点に台数と画角を決めると設計がぶれない

① 麻薬・向精神薬の保管庫は「金庫の前」に1台要る

いちばん見落とされているのがここです。麻薬及び向精神薬取締法第34条第2項は、麻薬を麻薬以外の医薬品と区別し、かぎをかけた堅固な設備内に貯蔵することを求めています。堅固な設備とは、麻薬専用の固定した金庫または容易に移動できない重量金庫を指します。手提げ金庫やスチール製ロッカー、事務机の引き出しは該当しません。

防犯カメラは、この金庫の代わりにはなりません。役割が違います。効いてくるのは事故が起きたあとです。同法第35条は、滅失・盗取・所在不明その他の事故が生じたとき、品名と数量、事故の状況を明らかにする事項を都道府県知事へ届け出るよう定めています。届出で問われるのは「いつ、何本が失われたか」という具体性です。在庫確認で数が合わないと気づいた時点から遡り、誰がいつ金庫を開けたかを追える記録があるかどうかで、届出内容の精度が変わります。

向精神薬も同じ発想で設計してください。麻薬ほど厳格な設備要件はありませんが、事故時の届出という枠組みは共通です。カメラは室内を細かく写す必要はありません。保管庫の正面に1台を置き、開扉した人物と時刻が残る構成で足ります。在庫差異を映像で遡る考え方は倉庫の窃盗対策薬局の防犯カメラと同じ構造です。

② 入院・術後の動物は「防犯」と「見守り」が同じ設備になる

動物病院のカメラが人のクリニックと決定的に違うのは、夜間に稼働する理由があることです。入院中の動物は、スタッフが帰ったあとも状態が変わります。術後の呼吸、点滴ラインの状態、ケージ内での体位。院長が自宅から確認できれば、駆けつけの判断が早くなります。

この用途では、防犯というより医療的なモニタリングが目的になります。求められる性能も変わります。動きの検知よりも、暗い室内でどこまで判別できるかが効きます。入院室は消灯するため、赤外線の白黒映像では毛色や吐瀉物の有無が読み取れません。夜間もカラーで撮れる機種の考え方は夜間カラー撮影の防犯カメラで解説しています。遠隔で見る前提なら、スマートフォンからの接続方法も先に決めてください。設定の要点はスマホでの遠隔監視にまとめました。

③ 自由診療ゆえに窓口の決済額が大きい

獣医療には公的医療保険がありません。手術や検査の費用は原則として全額が飼い主負担です。ペット保険を使う場合も、多くは飼い主が窓口で全額を支払ってから請求する流れになります。結果として、受付で動く1件あたりの金額が人の診療所より大きくなります。

受付のカメラは、カウンターの上面を斜め上から捉える画角にしてください。人物の顔だけが写る位置では、金銭の授受そのものが記録されません。レジの過不足が問題になったときに必要なのは「誰がいたか」ではなく「いくらをどう扱ったか」です。

④ 転帰をめぐる抗議と、院外への遺棄

動物病院では、治療の結果をめぐる感情的な抗議が起きます。飼い主にとって患畜は家族であり、死亡や後遺症が残った場合の受け止めは人の医療より激しくなることがあります。抗議は診察室ではなく、受付や待合室という他の飼い主がいる場所で表面化します。記録が残っていれば、受付スタッフはその場で言い返す必要がなくなります。同じ構造は病院・クリニックの防犯カメラでも扱っています。

もうひとつ、動物病院に固有の事態があります。院の前に犬猫を置いていく行為です。動物の愛護及び管理に関する法律第44条第3項は、愛護動物を遺棄した者を1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すると定めています。令和2年6月の改正で罰則が強化され、令和7年6月から懲役が拘禁刑に改められた条文です。置いていった人物を特定できるのは、院外の出入口に向けた1台だけです。夜間や早朝に起きるため、屋外カメラは暗所での人物識別性能で選んでください。

入院室の映像を飼い主に公開してよいか【2026年版の判断基準】

公開できます。ただし運用ルールを先に決めてからです。ここを決めずに機器を選ぶと、あとから止められない仕組みができあがります。

写っているのは、その飼い主のペットだけではない

入院室のカメラは、ケージが並ぶ列を1台でカバーする配置になりがちです。この映像をそのまま飼い主に見せると、他の飼い主が預けた動物の様子と、世話をしているスタッフの動きが同時に伝わります。自分の預けた動物を見たい人の希望を叶えると、他の人が預けた動物も見えてしまう。この構造を認識しないまま公開を始めると、後から苦情が出たときに引き返せません。

スタッフ側の視点も要ります。入院室は、動物看護師が処置と世話を行う作業場です。その映像が院外の第三者に見られる状態は、従業員の側から見れば監視の範囲が院外まで広がったことを意味します。従業員が記録対象に含まれる場合の考え方は防犯カメラで従業員監視は違法かにまとめました。

公開するなら決めておく3つのルール

  • 単位をケージに絞る — 全頭が一望できる俯瞰映像を配信するのではなく、対象の1頭が確認できる範囲に限定します。ケージ単位のカメラを使うか、公開用と防犯用でカメラを分ける構成にしてください。
  • 入院申込書に同意欄を設ける — 入院室にカメラがあること、その映像を飼い主が閲覧できる運用があることの2点を、預かる時点で書面にします。口頭の説明だけでは、他の飼い主から見たときの説明責任を果たせません。
  • 閲覧できる期間を入院中に限る — 退院後もアクセスできる状態を残さないでください。閲覧用のIDを入院ごとに発行し、退院時に無効化する運用が実務的です。

映像に個人が判別できる形で写っていれば、それは個人情報です。動物病院も個人情報の保護に関する法律上の個人情報取扱事業者にあたり、利用目的をできる限り特定し(第17条第1項)、取得に際して利用目的を公表または通知する義務を負います(第21条第1項)。義務の全体像は防犯カメラと個人情報保護法で詳しく扱っています。

診察室は撮ってよい。ただし飼い主が同席している

人の医療機関で「診察室は撮らない」とされる理由は、患者本人の症状という要配慮個人情報が映像と音声に記録されるためです。獣医療の診察室で記録されるのは動物の状態であり、この理屈はそのまま当てはまりません。処置の手順を後から検証でき、医療過誤を疑われたときの事実確認に使えるため、設置する実益もあります。

ただし診察室には飼い主が同席します。診察台の前で説明を受ける飼い主の姿と、その受け答えは記録されます。事前の掲示による周知は必要です。音声を録るかどうかは映像と分けて判断してください。獣医療は治療方針と費用の説明が診療の一部になっており、音声があれば説明をめぐる認識のずれに強くなります。同時に、飼い主が話した内容がそのまま残る点も見ておく必要があります。判断材料は防犯カメラの音声録音は違法かで整理しています。実務的な落としどころは、診察室は映像のみ、受付は音声つきという切り分けです。

設置場所の優先順位と台数の目安【診察室数別の料金表】

台数は診察室数で決まります。床面積ではなく、診察室数が動線とスタッフ配置を規定するためです。

動物病院の診察室数別に変わる防犯カメラの設置場所と台数の目安の解説
施設の規模台数の目安優先して押さえる場所費用の考え方
診察室1〜2室の個人開業3〜4台麻薬金庫・受付・入院室・出入口3〜4台の一般的な相場である15〜40万円に収まる
診察室3室以上・夜間対応あり6〜10台上記+処置室・手術室前の廊下・駐車場録画機のチャンネル数とHDD容量の増設費が乗る
入院室を飼い主に公開する施設上記+ケージ単位公開用と防犯用でカメラを分ける公開用は台数が増え、配信基盤の月額費用が発生する
分院を展開する法人分院ごとに上記+本院視聴各院の麻薬金庫・受付本院からの遠隔視聴を入れるとクラウド費用が月額で発生

台数を絞るときの順序

予算の都合で3台に絞るなら、麻薬・向精神薬の保管庫、受付カウンター、入院室の順に決めてください。出入口は4台目で構いません。この順序の理由は、上位3か所が「失われたときに説明責任が生じる場所」だからです。保管庫は行政への届出、受付は金銭の過不足、入院室は預かった動物の状態。いずれも「わからない」で済ませられません。出入口は不審者対策として重要ですが、事後に説明を求められる度合いが一段低くなります。

麻薬施用者免許を持たず、規制医薬品を院内に置いていない施設では、1番目が不要になります。その場合は入院室を1番目に繰り上げてください。設置場所の一般的な考え方は防犯カメラの設置場所にまとめています。

夜間の入院室は「解像度」より「暗所性能」で決まる

入院室のカメラで失敗しやすいのが、画素数だけを見て選ぶことです。消灯した室内では、画素数を上げても情報量は増えません。赤外線モードに切り替わった白黒映像では、毛色の変化も、吐いた跡も、点滴ラインの色も判別できないためです。動物の状態を見るという目的に照らすと、優先すべきは低照度でカラー撮影を維持できるかどうかになります。

画素数は、その次の判断です。ケージ列を1台でカバーするなら相応の画素数が要りますが、必要なのは顔認識ではなく個体の姿勢と呼吸の把握です。用途別の考え方は防犯カメラの画素数の選び方にまとめています。録画機を院内に置くかクラウドに寄せるかは、遠隔で見る頻度で決めてください。方式ごとの特性はクラウド録画の防犯カメラNVRとDVRの違いで扱っています。

動物病院の防犯カメラ設置費用の相場【2026年版】

動物病院の設置費用は、同規模のテナント店舗と同じ水準です。防爆仕様のような特殊要件がなく、高所作業も発生しにくいためです。総額は台数の設計でほぼ決まります。

買い取りの場合、1〜2台で8〜20万円、3〜4台で15〜40万円が一般的な相場です。台数別の内訳と本体価格・工事費の切り分けは防犯カメラ設置費用の相場、工事費だけを比較したい場合は防犯カメラ工事費の相場を参照してください。入院室に夜間カラー対応機を入れる場合は、その1台だけ単価が上がる前提で見積もりを読んでください。

買い取りとレンタルの分岐点

判断軸は、テナントの契約期間と移転の可能性です。自院ビルで長期に運営する施設は買い取りが有利になります。テナント開業で、更新のタイミングに移転や増床を検討している施設はレンタルの方が身軽です。原状回復の条件で天井や壁への穴あけが制限されている物件では、そもそも配線工事の選択肢が狭まります。総額での比較はレンタルと購入はどちらが得かで計算方法を示しています。

動物病院に特有の事情として、入院室の増設・レイアウト変更の予定を先に確認してください。ケージの配置が変われば、列を俯瞰していたカメラの画角が合わなくなります。改装が2年以内に予定されているなら、麻薬金庫と受付だけ先に入れ、入院室はレイアウト確定後に設計する進め方が無駄になりません。

補助金は当てにせず、見つかったら申請する

動物病院向けに防犯カメラを名指しした国の制度は、2026年8月時点でありません。自治体の防犯カメラ補助は自治会・商店街向けが中心で、営利事業者は対象外という要綱が大半です。事業者を対象に含める制度もあるため、所在自治体の要綱は確認する価値があります。制度の探し方は防犯カメラ補助金の完全ガイドにまとめました。

補助金ありきで計画を立てると、交付決定を待つあいだ着工できません。自己資金またはレンタルで進める前提で見積もりを取り、使える制度が見つかった時点で申請に切り替える順序が安全です。相見積もりを取るときは、全社に同じ台数・同じ設置場所を提示してください。条件がずれると総額の比較が成立しません。依頼時の伝え方は防犯カメラの見積もりのコツで解説しています。

飼い主への掲示・スタッフへの告知・保存期間の決め方

機器の発注より先に、掲示文と告知の段取りを決めてください。この不備は、法令上の問題であると同時に、飼い主の離反と動物看護師の離職に直結します。

掲示に書く4項目

受付の近くに掲示するのが基本です。載せるのは、設置している事実・利用目的・管理責任者・問い合わせ先の4項目です。「防犯カメラ作動中」だけの掲示では、利用目的の公表としては不足します。

動物病院の場合、利用目的の書き方に一手間かけてください。防犯だけを目的として掲げると、入院室のカメラが目的の範囲から外れます。「院内の防犯および入院動物の状態確認のため」のように、獣医療上のモニタリングを目的に明記してください。飼い主への公開運用がある施設は、その旨も掲示に含めます。

スタッフへの告知は設置決定と同時に行う

動物病院のカメラが写すのは、大半がスタッフです。受付、処置室、入院室。動物看護師とトリマーが1日の大半を過ごす場所ばかりです。従業員の行動が記録対象に含まれる以上、事前の告知と就業規則への記載が前提になります。

告知の順序を間違えると、目的が正当でも受け止めは変わります。工事日程が決まってから伝えるのでは遅く、「設置を決めた」時点で共有してください。説明すべきは目的の具体性です。「防犯のため」では、スタッフは自分が疑われていると受け取ります。規制医薬品と現金の管理、入院動物の夜間の状態確認、飼い主とのトラブル発生時の事実確認——この3つのために設置すると言い切り、閲覧できるのは院長のみであること、閲覧のたびに日時と理由を記録することをあわせて伝えてください。動物看護師の採用が難しい環境では、この一手間が離職を防ぎます。

保存期間は診療簿の3年ではなく30日で設計する

獣医師法第21条は、診療簿と検案簿を3年間保存するよう定めています(牛・水牛・しか・めん羊・山羊は8年間)。ここで混同しやすいのが、防犯カメラの映像もこの期間に揃えるべきかという点です。揃える必要はありません。同条が対象としているのは診療の記録であり、映像は含まれないためです。

映像に求められるのは、事故や在庫差異に気づいてから遡れる長さです。動物病院では30日を基準にしてください。麻薬の在庫確認は定期的に行われるため、14日では前回の確認時点まで届かない可能性があります。台数が多い施設では30日分の容量が録画機の上限を超えることがあり、その場合は保管庫と受付だけ長め、入院室は短めという分け方も選べます。日数と容量の関係は防犯カメラ映像の保存期間で計算方法を示しています。

第三者への提供の判断者も決めておいてください。警察からの照会、飼い主からの開示請求のそれぞれについて、誰が判断するかを事前に決めます。警察対応の手順は防犯カメラ映像の警察提出で解説しています。

防犯カメラを入れない方がよいケース

すべての動物病院に必要というわけではありません。次に当てはまる場合は、優先順位を下げて構いません。

  • 規制医薬品を扱わず、入院を受けていない診療所 — 日帰り診療のみで麻薬施用者免許も持たない場合、守る対象の上位2つが院内から消えます。受付の1台で足ります。カメラより先に、カルテと薬品棚の施錠に投資してください。
  • 入院室の増設・改装が半年以内に確定している施設 — ケージ列を俯瞰するカメラは、配置が変われば画角が合いません。工事が二度手間になります。麻薬金庫と受付だけ先に入れ、入院室は改装後に設計してください。
  • テナントの原状回復条件で配線工事の許可が取れない施設 — 穴あけができない物件で無理に進めると、退去時の費用が膨らみます。工事を伴わない機種で先に始める判断が合理的です。選択肢は工事不要の防犯カメラで扱っています。

導入で確実に発生する負担も先に見ておいてください。入院室の映像を公開したあとの問い合わせ対応です。飼い主が映像を見られる状態になると、「さっき動きが少なかったが大丈夫か」という連絡が診療時間中に入ります。安心を提供する仕組みが、そのまま業務量として跳ね返ります。公開を始めるなら、返答のタイミングを「1日1回、定時の報告にまとめる」と先に決めて伝えてください。もうひとつはスタッフの心理的負担です。動物病院は少人数チームで、院長との距離が近い職場です。監視されていると受け止められると、その空気は診療の質にまで及びます。設置の事実だけを通知して運用を明かさないのが、最も反発を生むやり方です。

動物病院の設置に対応できるサービス

業者選びで見るべき点は2つです。医療施設の施工経験があるかと、夜間の入院室に対応できる機種を提案できるかです。店舗向けの標準構成をそのまま持ち込む業者に依頼すると、麻薬保管庫が構成から抜け、入院室に一般的な赤外線カメラが割り当てられます。

EMEAO! — 医療施設の実績がある業者を比較したい院長に

「麻薬保管庫の正面と受付を優先し、入院室は夜間カラー対応機で」という条件つきの依頼に向いているのがEMEAO!です。専任コンシェルジュに施設の種別と要件を伝えるだけで、第三者機関の審査を通過した業者を最大8社まで紹介してもらえます。動物病院の案件は業者ごとに提案の幅が大きく、1社の見積もりだけでは、その台数設計が標準的なのか過剰なのかを比べる相手がいません。利用は無料で、ヒアリングは最短2分、条件が固まれば最短5分で業者から連絡が入ります。累計10万件以上の相談実績があり、問い合わせの多くは決裁権者からのものです。

院長は、診療と入院動物の管理と経営を同時に抱えています。診療の合間に複数社へ同じ説明を繰り返す時間が取れない状況で、価値が出やすいサービスです。分院を持つ法人では、各院の条件をまとめて相談できる点も効きます。

知人からエミーオのことを聞いて興味を持っていたので、コストを見直すために依頼しました。複数の業者に見積もりをお願いしたところ、毎月のランニングコストが30%も削減できることがわかりました。最終的に依頼したの2番目に条件の良い会社でしたが、人柄や熱意が決め手でした。

出典: さぶろぐ(EMEAO!利用者の口コミ)

一方で、紹介を受ける業者側からは次のような指摘もあります。

工事業者です。EMEAO(エミーオ)は一件紹介料1万円で、受注すればあたかも安く感じますが、私が受けた案件は1日後にはもう決まってると言われました。それでも1万円の紹介料はただメールが来るだけなのに取られます。

出典: さぶろぐ(EMEAO!の悪い口コミ)

業者側が紹介料を負担する仕組みのため、案件は早い者勝ちになりやすいという内容です。院長側から見ると、これは裏返しの意味を持ちます。連絡が来た順に即決すると、比較になりません。最初の1社が翌日に見積もりを出してきても、そこで確定させず、3社そろうまで待ってください。あわせて「動物病院やクリニックの施工実績が何件あるか」を必ず質問してください。入院室の画角と機種を提案できるかどうかは、この経験値ではっきり分かれます。

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ココロアソビ — 設備投資枠を使わずに始めたい施設に

超音波診断装置やCTの導入で今期の設備投資枠が埋まっている——動物病院で起きやすい状況です。ココロアソビは機器一式のレンタル方式で、初期費用をかけずに導入できます。院の入る建物に自動販売機を設置できる場合、その売上でカメラ費用を賄う仕組みにより実質無料になります。待ち時間が長くなりやすい動物病院は、自販機との相性そのものは悪くありません。防犯カメラ・HDDレコーダー・小型モニターのセットに設置工事と保守が含まれ、自販機を置かない場合は月額6,380円(税込)のプランがあります。

※契約期間は3年で、期間内の解約には解約金が発生します。自販機プランは設置スペースの確保が条件です。テナント契約の更新が3年以内に来る施設や、移転・増床を検討している施設は、この点を先に確認してください。口コミがまだ少ないサービスのため、入院室の夜間撮影に対応できる機種かどうかは申し込み時に確認が必要です。

自分で設置する選択肢をどう考えるか

麻薬保管庫の正面に1台だけ置くという用途なら、市販の機種を自分で設置する判断もあります。扉の正面という単純な画角で、記録したいのは開扉の事実だけだからです。入院室の夜間モニタリングや、複数台を録画機でまとめる構成に進むなら業者に依頼してください。天井への設置はテナントの構造に手を入れる工事であり、原状回復の条件と絡みます。判断材料は防犯カメラを自分で設置する方法で扱っています。業者の選び方そのものは防犯カメラ設置業者おすすめ4選にまとめました。

よくある質問

Q. 動物病院に防犯カメラの設置義務はありますか?

防犯カメラそのものの設置を求める法令はありません。義務があるのは保管設備のほうです。麻薬及び向精神薬取締法第34条第2項は、麻薬を他の医薬品と区別し、かぎをかけた堅固な設備内に貯蔵することを求めています。獣医療法上の飼育動物診療施設も麻薬業務所に含まれるため、麻薬施用者免許を持つ動物病院はこの規定の対象です。堅固な設備とは麻薬専用の固定金庫または容易に移動できない重量金庫を指し、手提げ金庫やスチールロッカー、事務机の引き出しは該当しません。防犯カメラは金庫の代わりにはならず、金庫の前に置いて誰がいつ開けたかを記録する補助として使います。

Q. 入院室のカメラ映像を飼い主に見せてもよいですか?

運用ルールを決めれば公開できます。ただし、そのカメラが写しているのはその飼い主のペットだけではありません。同じ入院室の他の患畜と、世話をしているスタッフも同時に写ります。他の飼い主から見れば、自分の預けた動物の様子が第三者に見られていることになります。公開を始める前に、対象を1頭ずつ確認できるケージ単位に限る、入院申込書に公開の同意欄を設ける、閲覧できる期間を入院中に限定する、この3点を決めてください。全頭が一望できる俯瞰映像をそのまま配信するやり方は避けたほうが安全です。

Q. 動物病院に防犯カメラは何台必要ですか?

診察室数で決まります。診察室1〜2室の個人開業なら3〜4台が目安です。内訳は出入口1台、受付カウンター1台、麻薬・向精神薬の保管庫の前に1台、入院室に1台という構成になります。診察室3室以上や夜間救急を持つ施設では6〜10台になり、処置室・手術室前の廊下・駐車場が加わります。台数を絞る場合の優先順位は、保管庫、受付カウンター、入院室の順です。出入口は4台目で構いません。

Q. 診察室に防犯カメラを設置してもよいですか?

設置できます。人の医療機関で診察室を撮らないとされるのは、患者本人の症状という要配慮個人情報が映像と音声に記録されるためです。獣医療の診察室で記録されるのは動物の状態であり、この理屈はそのまま当てはまりません。ただし飼い主は診察室に同席します。診察台の周辺で説明を受ける飼い主の姿は記録されるため、掲示による事前の周知は必要です。獣医師とスタッフにとっては、処置の手順を後から検証でき、医療過誤を疑われたときの事実確認に使える設備になります。

Q. 麻薬が盗まれた場合はどうすればよいですか?

すみやかに都道府県知事へ届け出る義務があります。麻薬及び向精神薬取締法第35条は、麻薬取扱者が所有または管理する麻薬に滅失・盗取・所在不明その他の事故が生じたとき、品名と数量、事故の状況を明らかにする事項を届け出るよう定めています。麻薬施用者や麻薬管理者の届出先は都道府県知事です。このとき求められるのは、いつ何本が失われたのかという具体性です。保管庫の前にカメラが1台あると、在庫確認で差異が出た時点から遡って開扉の記録をたどれます。届出内容の裏づけを自力で用意できるかどうかが変わります。

Q. 映像の保存期間は診療簿と同じ3年にすべきですか?

揃える必要はありません。獣医師法第21条が3年間の保存を求めているのは診療簿と検案簿であり、防犯カメラの映像は対象外です。映像に求められるのは、事故や在庫差異に気づいてから遡れる長さです。動物病院では30日を基準にしてください。麻薬の在庫確認は定期的に行われるため、14日では前回確認時点まで届かない可能性があります。台数が多い施設では30日分の容量が録画機の上限を超えることがあるため、保管庫と受付だけ長め、入院室は短めという設定の分け方も選べます。

発注前に院長が決める3つのこと

動物病院の防犯カメラは、機種選びより先に「何を守るか」の線引きで設計が決まります。業者に連絡する前に、次の3点を順に片づけてください。

  1. 院内図面を4色に塗り分ける — 規制医薬品を置く場所、動物を預かる場所、現金が動く場所、人が集まる場所。この4つを図面上で色分けし、あわせてトイレ・更衣室・スタッフ休憩室を撮らない区画として塗り潰します。ここが決まらないまま見積もりを取ると、各社の前提がばらついて比較できません。
  2. 入院室の映像を飼い主に公開するかを先に決める — 公開するなら、ケージ単位に絞る・入院申込書に同意欄を設ける・閲覧期間を入院中に限る、の3点まで決めてから業者に伝えます。あとから公開に切り替えると、防犯用の配置をやり直すことになります。
  3. 掲示文とスタッフへの説明文を先に書く — 設置の事実・利用目的・管理責任者・問い合わせ先の4項目を掲示用に1枚、閲覧権限と記録方法をスタッフ説明用に1枚。利用目的には防犯だけでなく入院動物の状態確認も明記してください。

医療施設の実績で業者を絞りたいならEMEAO!、設備投資枠を使わずに始めたいならココロアソビ——この2択で見積もりを取り、麻薬保管庫と入院室を構成に入れてくるかどうかで提案の質を見比べてください。いずれも相談は無料です。同じ医療系でも人を診る施設とは設計が異なります。比較したい場合は病院・クリニックの防犯カメラ、貴金属と自費決済の観点は歯科医院の防犯カメラもあわせて確認してください。

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